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デザイン保護は 人と文化のバロメータ

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Q&A

苦労して開発した製品のデザインを、まねされないようにどうにかして保護したいと考えています。具体的にどんな保護の方法がありますか?
魅力的な製品を開発しても、模倣品や類似品を排除できなければ、その製品の付加価値やブランドイメージが台無しになりかねません。製品のデザインを守るには、効果が明確な「法律上の保護」を受けることが最も有効な方法ですが、製品のデザインを保護する法律はいろいろとありますので、以下に、代表的な意匠法、不正競争防止法、商標法を取り上げて、その概要を説明します。

1.意匠法による保護
 まず挙げられるのは、意匠法に基づく「意匠権」の取得です。意匠法は、製品の形態を保護する法律であって、ここでいう「意匠」とは、「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」(意匠法2条1項)を意味し、「物品」とは「有体物たる動産」と解されていますので、工業製品であれば、そのほとんどが保護の対象になります。
 意匠権を取得すると、登録された意匠、さらにこれに類似する意匠を業として実施する独占排他的な権利が付与され(意匠法23 条)、これによって、模倣品や類似品に対して法的に対抗することができるようになります。意匠権の取得による保護の効果は、侵害製品の製造・販売の差止(意匠法37 条)やその製造・販売によって被った損害の賠償を請求することができ(同39 条)、刑事責任の追及も可能になります(同69 条等)。海外からの輸入品が意匠権を侵害している場合には、税関に対して輸入品の輸入差止を申し立てることも可能です。差止請求等は、裁判所に訴える必要がありますので、その前に意匠権を侵害する他社に対して警告書等を通知し、協議によって解決を図ることも行われています。
 意匠権を取得するには、特許庁に所定の願書及び図面を整えた意匠登録出願を行い、審査を経なければならず、この審査に通るには所定の登録要件を満たす必要があります。登録要件を全て満たし、登録が認められると、登録料の納付によって意匠権が発生します。この意匠権は、権利維持のための費用の納付を条件に登録から20 年間保護されます。
 主な登録要件は以下の通りです。
(1)新規であること(意匠法3条1項)
意匠登録のためには、出願した意匠が、その出願前に公然知られた意匠と同一又は類似の意匠でないことが条件になります。例えば、出願した意匠を自らがその出願前に製品の良し悪しを掴むために展示会で発表した場合であっても、原則的には、新規でないとされます。
(2)容易に創作できる意匠でないこと(意匠法3条2項)
 また、新規であっても、その出願前に公知になっている形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて、当業者が容易に創作することができた場合には意匠登録を受けることができません。意匠登録を受けるためには一定程度の創作力も求められます。
(3)最先の意匠登録出願であること(意匠法9条1項)
 さらに、意匠権は、最先に出願した者のみに付与されます。

2.不正競争防止法による保護
 製品のデザインは、不正競争防止法に規定する2条1項1号及び3号によっても保護され得ます。これらによる保護は、行政庁に対する登録は不要ですが、一定の条件を満たす必要があります。
(1)不正競争防止法2条1項1号(混同惹起行為)
 1号に該当するには、@需要者の間に周知の他人の商品等表示と同一又は類似のものを使用し、さらにA他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為であることが条件になります。
 「商品等表示」とは、「人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するもの」をいい、自他商品を識別する機能や出所を表示する機能を有している必要があります。商品の形態は、これらの機能を果たす表示として認識されないのが通常ですが、同種商品と識別しうる独自の特徴を有し、さらに長期間継続的かつ独占的に使用されたような場合には、周知な商品等表示となり得ると解されていますので、このような条件を満たす場合には、保護され得ます。
(2)不正競争防止法2条1項3号(商品形態模倣行為)
 3号は、主に、@他社の商品形態が自社商品の模倣であること、A自社商品の最初の販売から3年を経過していないことが条件になります。ここでいう「模倣」とは、商品の形態に依拠し、実質的に同一の形態の商品を作り出すこと(不競法2条5項)を意味し、デッドコピーが対象になっています。
 保護の効果は、意匠法と同様に、差止請求(不競法3条)、損害賠償請求(同4条)ができますが、刑事罰は、「不正の目的」をもって行う行為のみが対象になります(同21条2項1号、3号)。
 意匠法と比較すると、行政庁に対して登録を行う必要がなく、新規性や創作非容易性等の登録要件を満たす必要もありませんので、この点がメリットですが、1号は、製品のデザインが商品等表示として需要者の間に周知であること、混同を生じさせていることが必要になる点、3号は、デッドコピーが対象であって、意匠権より保護範囲が狭く、保護期間が「最初の販売から3年」という短期である点がデメリットといえます。

3.商標法による保護
 商標法は、自他商品を識別するマークである商標を保護し、その保護対象には立体的形状も含みますので、商品の形態も立体商標として保護され得ます。商標権は、特許庁に商標登録出願を行い、審査を経て、登録が許可された後に、登録料の納付によって発生します(商標法18 条1項)。商標権の存続期間は、登録から10 年間ですが、更新が可能です(同19 条)。保護の効果は、意匠法の場合と同様になります。
 商品の立体的形状が商標登録を受けるためには、それ自体が自他商品を識別する機能を果たす必要がありますが、通常、商品の立体的形状は、自他商品を識別する標識としては認識されにくく、なかなか商標登録を受けることができないのが現状になっています。
 意匠法と比較すると、更新により権利を永続的に保持することができ、また、新規性や創作非容易性等の登録要件が要求されない点がメリットになりますが、一方で、商品の立体的形状は、その性質により、なかなか商標登録を受けることができない点がデメリットになります。

 製品のデザインを法的に保護する方法は、上述のとおり、いくつかありますが、各法律にはメリット・デメリットがあります。これまで説明したことを考慮すると、製品のデザインは、まず、意匠権での保護を図ったうえで、意匠権での保護が難しいところを不正競争防止法による保護や商標権で補完するのが効果的な方法であると思います。

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