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デザイン保護は 人と文化のバロメータ

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Q&A

意匠法には、物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠は、意匠登録を受けることができない(5条3号)と規定されていますが、デザインには「機能的デザイン」もあり、製品の機能性は重要な位置を占めると思います。意匠法においては、機能的デザイン、すなわち、「機能的意匠」は保護されるのでしょうか。
 そうですね、意匠法上の意匠とは、「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」(意2条2項)ですので物品と一体不可分のものです。すなわち、物品には必然的に「用途及び機能」が備わっており、意匠法の保護対象に「機能的意匠」は当然含まれます。
  ところで、意匠は物品の外観形状を保護するものですので、当該意匠の機能性が、いわば意匠的効果として意匠の外観に表れるものでなければなりません。
 なお、当該意匠の機能性が、「物品の機能を確保するために不可欠な形状」である場合は、その形状は必然的にその形が決まるものであり、そこに新たな創作は認められないこと、また、そのような必然的形状は共有財産ともいえ、保護することは産業の発達に寄与しませんので、意匠法においては、登録をすることができない意匠とされています(意5条3号)。
 また、意匠が有する機能性は、その形状自体にとどまらず、その形状が「その物品の有する機能に基づいて変化する場合」その「変化する形態」、すなわち、「変化する意匠」も意匠法で保護されます(意6条4項)。
 したがって、@物品が有する機能的形態(機能的意匠)、A機能に基づき変化する形態(変化する意匠)は、いずれも意匠の保護対象です。
 例えば、@物品が有する機能的形態が保護された「集しゅう束そく暗あん渠きょ管かん事件」(平成4年(行ケ)第9号、東京高裁平成4年7月30 日判決言渡)において、裁判所は「機能的工夫により生じた形状に意匠的価値が生じることがあることは否定し得ないところであり、かような形状をもって、単に機能上の利点に由来するものとして、意匠の類否判断の要素としないことは相当ではない。」と判示しています[図1]。
 また、「エンドミル事件」(平成16 年(行ケ)第172 号、東京高裁平成16 年10 月19 日判決言渡)においては、「エンドミルのような機能的物品については、物品の性質上、重要な機能を営む部分は、当業者の注意を引きつける部分となりやすく、特にその部分の意匠が新規あるいは特徴のある意匠である場合には、物品全体の意匠においても、看者の注意を引きつける重要な部分となるのである。」と判示しています[図2]。
 他方、機能的形態が保護されなかった事例としては、「マーキング用ペン先事件」(平成12 年(行ケ)第317 号、東京高裁平成13 年3月22 日判決言渡)があります。その事件においては、「原告は、本願意匠について、質感の異なる2種類の部材、すなわち、ペン先部の内部がインクに対して高含浸性の部材で形成され、その周面層がインクに対して非含浸性の部材で覆われていると主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。もっとも、本願意匠のペン先部は、削ぎ面を除く周囲全体が暗調子であるけれども、直ちにこれを、インクに対して非含浸性部材であるということはできない。すなわち、周囲全体について、削ぎ面と同質の部材を暗調子としたものを使用したとしても、意匠の観点から見る限りにおいては、本願意匠と異なる別のものとなる筋合いのものではないのである。」と判示しています[図3]。
 すなわち、本願意匠が有するペン先部の内部がインクに対して高含浸性の部材で形成した機能的形態が、意匠の外観に意匠的特徴として表れないことを理由として、意匠登録が認められていません。
 最後に、変化する形態が保護された事例としては、「輪ゴム事件」(平成21 年(行ケ)第10036 号、東京高裁平成21 年7月21 日判決言渡)があります。本願意匠「輪ゴム」の変化する形態について、裁判所は、「本願意匠によって方形体の物品を結束する場合、その物品が雑誌のように薄いものであるときは、本願意匠の四つの開口部に方形体の四隅を挿入すると、平面および底面方向から見れば、八角形となるものの、その形状は四角形に近く、4辺のみが目立つことになる。」と判示し、本願意匠「輪ゴム」の結束状態を「変化する意匠」として保護しています[図4]。

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